これで十分!家族信託にかかる全費用 シミュレーション付

認知症による財産凍結に効果を発揮する家族信託。最近、よく聞く家族信託ですが、気になるのは家族信託を利用する際の費用ですよね。

いくら認知症による財産凍結に効果を発揮するとはいえ、目安となる費用がわからなければ、利用するかどうかの判断もできません。

そこで、この記事では家族信託にかかる費用の項目と目安となる金額を網羅しました。具体的な費用シミュレーションもつけてあるので、家族信託を利用する際の目安として活用してください。

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1.家族信託にかかる費用は70万円から100万円程度

当社では年間件約40件の信託契約を手掛けていますが、70万円から100万円程度の費用がかかっています。

この費用には、信託契約書の作成費用から不動産の登記費用、登録免許税まで含めた総額です。家族信託を利用して管理をまかせる財産の規模が大きくなればなるほど、金額も大きくなりますが、一般的なご家庭の場合は目安として70万円から100万円程度と考えていただいてかまいません。

家族信託にかかる費用を一覧表にまとめましたのでご確認ください。

次章より、それぞれの費用の項目について詳しく見ていきます。


2.家族信託にかかる主な費用

まず家族信託を利用する際に必要となる主な費用をまとめました。

2-1 信託契約書の作成費用

家族信託を利用する際には、信託契約の内容をまとめた契約書が必要です。この契約書の作成費用は、多くの場合で信託財産の評価額によって決定されます。信託財産の評価額に対して、0.3%~1%程度が信託契約書の作成費用となります。

以下、当社が手掛けた場合の信託契約書の作成費用表をまとめましたので、参考にしてください。

信託財産とは

家族信託において、管理運用を委託する対象となる財産のことを信託財産と言います。代表的な信託財産は、実家や収益不動産、駐車場などの不動産と現金です。

たとえば、8,000万円の自宅を信託財産とする場合には、およそ80万円(コンサルティング費用込・税別)が信託契約書の作成費用となります。

信託財産の評価額の算定方法不動産の場合信託財産の評価額は市場価格ではなく、固定資産税を算出する際の基準となる固定資産税評価額が用いられるので注意が必要です。

固定資産税評価額は、土地が市場価格のおよそ6割~7割、新築の家屋の場合は建築費のおよそ5割~7割となります。

現金

現金の場合は額面金額がそのまま評価額となります。

2-2 公証役場の実費

公証役場において、公証人に作成してもらう書面を公正証書といいます。公証人に契約内容を証明させることになるので、契約後のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。このような観点から、信託契約書で作成されることが多くなります。

公正証書を作成する際には、契約書に記載された財産価格に応じて手数料が必要となります。

なお、不動産を信託財産にした場合の財産価額は、実勢価格ではなく固定資産税評価額が用いられます。たとえば、固定資産税評価額が8,000万円の不動産の場合、手数料は43,000円となります。
また、そのほか証書の枚数1枚あたり250円の交付手数料が必要になります。

2-3 コンサルティング費用・コーディネート費用

信託契約書を作成する司法書士や行政書士によっては、信託契約書の作成費用とは別にコンサルティング費用がかかるケースがあります。

コンサルティング費用は家族信託を利用するにあたって、相談者の資産背景やご希望をヒアリングしたうえで、最適な契約内容を提案するために支払われる報酬です。別途、費用が掛かるケースもあれば、信託契約書の作成費用に含められるケースもあるので、事前に確認しておきましょう。


3.信託財産に不動産がある場合の不動産の登記費用

信託財産に不動産がある場合、信託した旨を登記簿に登記をする際の費用がかかります。不動産登記にかかる費用は、司法書士に支払う費用と登録免許税の2つがあります。

3-1 司法書士に支払う費用(登記代行手数料)

不動産の信託登記を入れるに司法書士に支払う費用は、所有権移転登記ならびに信託登記で1件あたりおおむね5万円~10万円程度です。さらに、委託者や受託者、受益者の氏名、住所、信託の目的などを記した信託目録登記で10万円程度の費用がかかります。

なお、信託財産として登記する不動産の数が多ければ、それだけ費用も大きくなります。

3-2 登録免許税

信託の登記をすると登録免許税が課税されます。土地と家屋にかかる登録免許税は以下の通りです。
土地 固定資産税評価額の0.3%家屋 固定資産税評価額の0.4%(平成30年1月現在)


4.家族信託費用のシミュレーション

信託財産

実家(土地と家屋)固定資産税評価額 土地2,000万円 家屋1,000万円
現金 2,500万円

信託契約書の作成費用:55万円
(土地2,000万円+家屋1,000+現金2,500万円)×1%

公証証書作成費:43,000円

評価額1億円まで43,000円
(土地2,000万円+家屋1,000+現金2,500万円=5,500万円)

司法書士に支払う費用:26万円
土地と家屋につき、それぞれ8万円ずつ。信託目録 10万円。

登録免許税:11万円(土地:8万円 家屋:3万円)
土地:2,000万円×0.4%
家屋:1,000万円×0.3%

総額:963,000円


5.信託契約後にかかる費用

ここからは信託契約後にかかる費用についてご紹介します。必ずしも必要となるものではありませんが、制度の利用状況によっては必要なる支出です。あわせて確認しておきましょう。

5-1 信託監督人を置く場合の信託監督人に支払う費用

管理運営を委託された財産から得られる利益を受け取る受益者が、未成年者であったり、高齢により判断能力が低下した場合に、信託事務がきちんと行われているかどうかを受益者が判断することは困難です。このとき、受益者に代わって受託者を監督する者を「信託監督人」といいます。

信託監督人を司法書士に依頼した場合、毎月数万円の費用が必要になります。

5-2 信託契約書の変更費用

信託契約書の内容は一度作成した後に、変更することも可能です。その際は、新たに一から作り直すのではなく、既存の契約書を変更するという手続きを取ります。

信託契約書の変更には、およそ10万円程度の費用がかかります。


6.財産凍結を回避できることを考えれば、家族信託費用も高くはない

家族信託の利用費用は遺言や成年後見制度に比べると、初期費用が高くなります。

しかし、家族信託の利用効果を考えれば、決して高すぎる金額ではありません。

たとえば、一般的な法定後見制度では利用の際の初期費用はほとんどかかりませんが、毎月数万円のランニングコストが必要になります。認知症の介護期間は6~7年程度といわれていますので、トータルコストで比較すると、家族信託のほうが安く済むケースもあります。

また法定後見制度の目的は、被後見人の財産の保全が目的となるので、積極的な財産の管理運用は困難で、実家を売却する際にも家庭裁判所の許可が必要です。費用だけで判断するのではなく、ランニングコストや制度の使い勝手を十分考慮したうえで、家族信託の利用を検討しましょう。


まとめ

家族信託を利用する際の費用として最も大きなものが契約書の作成費用およびコンサルティング費用です。

契約書の作成費用は、信託財産の評価額(固定資産税評価額)に左右されますので、固定資産税の納税通知書に記載のある固定資産税評価額を確認して概算金額を確認してみましょう。


動画でわかる家族信託とその費用

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