
遺言書の作成をお願いしようと思っているけど、誰に依頼していいのかわからずに困っていませんか?
ネットや本などで調べて遺言書を作成しようとする人もいますが、正しい知識で遺言書を作成しないと、遺言書が無効となって想定していた通りに相続ができないケースもあります。
そこでこの記事では、遺言書の作成を専門家に依頼すべき理由と、それぞれの専門家のメリットやデメリット、費用などを詳しく解説していきます。
遺言書の作成を専門家に依頼することによって、効力のある遺言書を残すことができ、相続トラブルで揉めるリスクを大幅に減らせます。両親の意志をしっかりと遺言書に残し、相続人全員が納得できるようにしたいですよね。専門家協力のもと、有効となる遺言書を作成し、将来の相続にしっかり備えましょう。
目次
1.遺言書の作成は専門家に依頼すべき
遺言書を作成する上で大事なのは、「きちんと効力のある遺言を残すこと」です。そのため遺言書は公正証書遺言を作成すること、そして専門家に相談することをオススメします。
公正証書遺言は公証役場が遺言の原本を保管してくれるため、遺言書の紛失や改ざんの心配がありません。また公証役場の公証人が作成してくれるため、内容が無効になる心配もありません。遺言書を自分で作成するとなると、家族構成や資産状況、遺言書の書き方はもちろん、相続の知識も必要です。
専門家に依頼することによって、被相続人の家族構成や資産状況を整理して、本人の希望に沿いながら適切な遺産分割を提案してくれます。
あとはその内容を元に遺言書を作成するだけです。遺言書を作成するなら、後々問題にならないように、法的に有効な内容や書き方で残せるように専門家に依頼しましょう。遺言書の作成は弁護士、行政書士、司法書士に依頼できますので、それぞれの特徴を詳しくまとめていきます。
1-1.弁護士
弁護士は法律のプロなので、遺言作成においても、弁護士に相談するのが一番安心です。
弁護士に遺言書の作成を依頼するメリットは、遺言内容や相続の配分などで紛争が起こった場合でも、代理人として対応してくれます。トラブルなく遺言が執行されれば問題ありませんが、遺言書を用意したからといって、トラブルが起きない可能性は0ではありません。
将来の相続発生後の紛争に備える意味でも弁護士に依頼するメリットは大きいです。どのような文言を遺言書に記載すればいいか、どのように記載すればトラブルが起きないか、など細かくアドバイスもしてくれるため、相続の知識がない人でも希望通りの遺言書を作成することができます。
デメリットとしては、司法書士や行政書士と比べて、費用が高いところです。
遺言書の内容が遺留分を侵害する場合や、紛争が起きることが予想される場合であれば、弁護士に依頼しておいたほうがいいです。
1-2.司法書士
司法書士は相続登記の専門家であることから、遺言内容に不動産を掲載する場合は、司法書士に依頼するといいでしょう。法律面も弁護士同様に知識があります。費用も弁護士より安く抑えられることが多いです。
- 相続対象に不動産がある
- 大きな紛争の心配がない
- 遺言書作成にかかる費用を抑えたい
という場合には司法書士への相談がオススメです。
紛争やトラブルが発生する可能性をはらんでいる場合は「弁護士」、そこまで心配がいらない場合は「司法書士」と判断すると良いでしょう。
1-3.行政書士
行政書士は書類作成の専門家あり、比較的安い費用で遺言作成したいなら、行政書士に依頼しましょう。
デメリットとしては「紛争が起こった際、代理人になれない」ことです。つまり、トラブルに発展した場合に対処してくれるとは限らないということです。
- 大きな紛争の心配がない
- 遺言書作成にかかる費用を抑えたい
という場合には行政書士への相談がオススメです。
2.専門家に遺言書の作成を依頼したときの費用
専門家に遺言書の作成を依頼した時の費用をまとめました。
2-1.弁護士
弁護士へ遺言書の作成を依頼した際の費用は、10万円~20万円です。
平成16年4月より弁護士への報酬が自由化されたため、弁護士事務所によって料金がバラバラですが、多くの弁護士事務所は旧弁護士会報酬規程に沿って費用を計算しています。
2-2.司法書士
司法書士事務所の遺言書作成費用は、約6万円~8万円です。
【司法書士事務所Aに依頼した場合】
合計61,500円(税別)
|
報酬(税別) |
実費 |
---|---|---|
1、相談 |
無料 |
無料 |
2、公正証書遺言 |
40,000円 |
別途、公証人さんの 手数料がかかります |
3、遺言証人 |
20,000円 |
|
4、戸籍収集 |
1通 1,000円 |
戸籍450円 |
5、登記事項証明書 |
1通 500円 |
1通 500円 |
【司法書士事務所Bに依頼した場合】
合計70,000円(税別)
種類 |
説明 |
報酬 |
---|---|---|
公正証書遺言文案作成 |
財産額5,000万円以内 |
60,000円 |
5,000万円を超えるもの (1,000万円ごとに右記金額を加算) |
10,000円 |
|
証人立会料 |
1名につき |
10,000円 |
【司法書士事務所Cに依頼した場合】
合計80,000円(税別)(※財産総額3,000万円以下の場合)
取扱業務 |
司法書士報酬(税抜) |
---|---|
公正証書遺言作成支援 |
50,000円 |
公正証書遺言作成支援 |
1,000万円ごとに3,000円を加算 |
公正証書遺言作成支援 |
1,000万円ごとに2,000円を加算 |
公正証書遺言作成支援 |
1,000万円ごとに1,000円を加算 |
遺言書の文案チェック |
1件につき20,000円 |
公正証書遺言の証人(立会い) |
1人につき10,000円 |
2-3.行政書士
行政書士事務所の遺言書作成費用は約6万円~8万円です。行政書士と司法書士の料金はほぼ同じとなります。
【行政書士事務所Aに依頼した場合】
合計73,500円~(税別)
サポート区分 |
報酬額 |
備考 |
---|---|---|
公正証書遺言作成サポート |
73,500円~ |
遺言書文案作成、相続人確認・ 相続 財産確認の資料収集、公証人との事 前打合せ、公証役場立会い等 |
【行政書士事務所Bに依頼した場合】
合計75,600円
取扱業務 |
報酬額 |
---|---|
公正証書遺言作成コース |
75,600円 |
【行政書士事務所Cに依頼した場合】
合計66,300円
|
報酬(税込) |
実費 |
---|---|---|
1、相談 |
無料 |
無料 |
2、公正証書遺言(証人2名含む) |
64,800円 |
別途、公証人の手数料が必要です |
3、戸籍収集 |
1通 1,000円 |
戸籍謄本代等の実費は別途頂戴します。 |
4、登記事項証明書(不動産がある場合) |
1通 500円 |
弁護士同様、行政書士や司法書士に遺言書の作成を依頼する場合も、事務所ごとに料金形態が違うため、詳しい料金については最寄りの事務所に問い合わせてください。
3.公正証書遺言を作成するときの費用
各専門家に公正証書遺言の作成を依頼するときには、専門家へ支払う費用とは別に「公正証書作成手数料」がかかります。
手数料は下記の表を参考にしてください。
遺言書に記載する財産の合計額 |
手数料 |
---|---|
100万円まで |
5,000円 |
200万円まで |
7,000円 |
500万円まで |
11,000円 |
1,000万円まで |
17,000円 |
3,000万円まで |
23,000円 |
5,000万円まで |
29,000円 |
1億円まで |
4,3000円 |
3-1.証人を依頼する場合は、証人費用もかかります
公正証書遺言の作成には「2人以上の証人」の立会いが必要となり、証人1人あたり1万円前後の費用がかかります。
証人は遺言書の内容を確認する際に立ち会う人のことで、遺言者の家族や身内など利害関係がある人は除外されるため、第三者に依頼することが多いです。
専門家に遺言書の作成を依頼していれば、証人を用意してくれますが、その際には証人の立会い費用がかかります。
公正証書遺言を作成するときには「専門家への報酬」+「公正証書遺言作成手数料」+「証人費用」がかかることを覚えておいてください。
4.専門家の選び方-5つの選定基準
専門家を選ぶ時の選定基準を5つ紹介します。
身近に遺言書の作成を依頼できる専門家がいなければ、知人の紹介やインターネットなどで探さなければいけません。そうなった場合に、選定基準を知っておくことによって、より理想とする専門家を選ぶことができます。
4-1.相続分野の実績があるか
まずは「相続」の分野において実績のある専門家を選ぶことが大切です。この後に紹介する4つの選び方よりも「相続分野の実績」は最優先しましょう。なぜなら、専門家といえども取り扱う分野(得意とする分野)が異なるからです。
弁護士の場合ですと、借金問題や離婚問題、犯罪問題など、それぞれ得意分野があります。仮に弁護士に依頼しようと検討しているのであれば、得意な分野をしっかり確認して「相続問題に強い弁護士」を選びましょう。
4-2.専門家との相性
相続はプライベートな内容を話すからこそ、相性の良い相手を選びましょう。
相談してみて、「この人になら頼める」と信頼できると思えることが大切です。初回の相談で見極めることは難しいかもしれませんが、相談をしていく上で、事務所を変更することも可能です。1回で決める必要はないので、何件か事務所を回って一番信頼できそうな専門家に依頼しましょう。
4-3.報酬基準
事務所によって報酬基準が異なりますので、その金額が納得できるかが大切です。さきほど紹介した専門家ごとの相場を参考に、決めるようにしてください。
4-4.事務所へのアクセス
正式に遺言書の作成を依頼することになった場合、メールや電話だけのやりとり以外だけでなく事務所を訪問する機会もあります。
そんなときに自宅から事務所への距離があまりにも遠すぎると、時間をかけて通わなければいけません。何度も事務所にいくのは大変なので、自宅からアクセスの良い事務所を選びましょう。
4-5.対応の速さ
たくさんの案件を抱えている事務所の場合、対応スピードが予想以上に遅い場合もあります。
相談をした際に、スケジュールを確認して、希望通りに対応してくれる事務所に依頼しましょう。遺言書の作成は専門家(弁護士や司法書士、行政書士)に依頼しましょう。
5.まとめ
専門家に遺言書の作成を依頼することによって、法的に有効な遺言書を作成することができます。
将来、安心した相続を行えるように、今回の記事を参考にしていただければ幸いです。
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