家族信託の相談先はココ!専門家の見極め方とよくある相談例

認知症が引き起こす財産凍結トラブルに効果を発揮する家族信託。ただ、残念ながら制度自体が新しいため、実務に精通し、なおかつ実績を残している専門家の数は多くはありません。

そのため、家族信託を利用して我が家も問題を解決しようにも、どこに問い合わせをすればよいのか、一般の方では判断がつかないでしょう。

また、相談した専門家に実務経験がない場合、本来であれば家族信託を活用したほうが上手に問題を解決できたにも関わらず、別の手法を進められてしまい、財産管理で不自由が生じるということも考えられます。

そこで、この記事では家族信託でご家庭の問題を解決しようと考えたあなたが、どのような視点で相談先を選べばよいのか、信頼のおける家族信託の相談窓口選びについてお伝えします。さらに、すぐにでも具体的な相談先を知りたいという方に向けて、家族信託に精通し、実績を残している専門家もあわせてご紹介いたします。

家族信託の相談先を探している方はぜひ参考にしてください。

1.失敗しない家族信託の相談先を見極める5つのポイント

家族信託の相談先というと、弁護士や司法書士、税理士、そして家族信託の言葉をつくった家族信託普及協会の家族信託コーディネーターが代表的な存在です。

ここでは数ある専門家のなかから、あなたの問題を解決してくれる相談先を見つけるため5つのポイントをご紹介します。すぐにでも具体的な相談先を知りたいという方は、2章より読み進めてください。

1-1 実績|契約数

信頼のおける相談先を選ぶに当たって最も重要なポイントが「実績」です。

実績をはかるには、これまで手掛けてきた家族信託の契約件数が目安となります。

家族信託の取り組みが活発化したのが、この数年のため家族信託の制度自体は知っていても、契約実績がないという専門家が大半です。

そのため、信託契約数は30件以上あれば、十分な実績であるといえます。50件以上で中堅レベル、100件ともなれば国内トップクラスの実績です。相談する際には、これまでの信託契約の実績について必ず確認してみましょう。

1-2 専門性|書籍出版の経験

家族信託に関する書籍の出版経験の有無もどれだけ知識があるのかの目安の一つになります。

家族信託については、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に向けたセミナーもまだまだ活発に行われている状況です(2018年2月現在)。私自身も、専門家の皆さまを前に何度か講演させていただいたことがあります。そのため、家族信託に関する知識を体系立てて話したり、執筆できる人の数は多くありません。

また、書籍が出版できるということは、社会的な信頼性の証にもなりますので、相談先選びの参考にしましょう。

代表的な家族信託の書籍

家族信託の教科書

出版社: 税務経理協会
著者:島田雄左
価格:1,600円(税別

親が認知症になる前に知っておきたいお金の話~いざという時に困らないための家族信託~

出版社:ダイヤモンド社
著者:横手彰太
価格:1,500円(税別)

相続・認知症で困らない 家族信託まるわかり読本

出版社:近代セールス社
著者:宮田浩志
価格:1,800円

1-3 信頼性|メディア出演の有無

新聞、雑誌、テレビへの出演実績も家族信託の相談先を選ぶ際の目安になります。

メディアに出演できるということは、社会的に家族信託の専門家として認められ、記事の監修や寄稿、インタビューを受けることになります。メディアとしても発信する情報には誤りはあってはいけないため、自然と識者としての専門家選びについても慎重になります。こうした厳しいフィルターにかけられてはじめて専門家としてメディアに出演できることになるのです。

そのため、メディア出演実績も専門家選びのポイントの一つとして活用することができます。

1-4 問題解決力|専門家ネットワークがある

家族信託は信託契約を交わして終わりではありません。

家族信託の契約をしてからが始まりです。財産の管理人(受託者)はたとえば信託された財産が実家である場合、介護費用を工面するために売却する必要もあるでしょう。こうした時には、不動産会社に売却を依頼することになります。相談先に家族信託に詳しい不動産会社とのネットワークが構築されているのであれば、売却手続きもスムーズにすすみます。

家族信託は一人の専門家が契約全体、契約後の財産の管理運用までに担うことは少なく、弁護士、司法書士、税理士そして不動産会社などのそれぞれのプロの専門家がチームとなってはじめて家族信託が有効に機能します。家族信託を相談する際には、こうした専門家のネットワークの有無や最低限、不動産会社とのつながりはあるのかは確認しておきましょう。

1-5 相性|コミュニケーション能力

家族信託について相談する際には、家族構成はもちろんのこと、家族間のトラブルの有無や財産の種類、金額までかなり踏み込んだ内容について打ち合わせを行います。

相談する人によっては、実績や経験があったとしても、どうしてもあなたと相性が合わないケースもあるでしょう。家族信託を円滑に進めるためには、相談先の専門家との信頼関係があることが前提条件です。もし、強い違和感があるようでしたら、別の専門家に相談してみることをおすすめします。

2. 実績重視!家族信託に精通している専門家

ここからは具体的に50件以上の信託契約に携わってきた家族信託の専門家をご紹介します。

ご紹介する専門家は4つのグループにわけました。弁護士・司法書士・行政書士グループ、そして税理士グループ、さらに不動産会社グループ、金融機関グループです。

2-1 弁護士・司法書士・行政書士グループ

家族信託の契約書の作成に関しては本グループが最も得意とするところです。最適な家族信託プランの立案から信託契約書の作成まで、ワンストップで行ってくれます。

宮田総合法務事務所

所長の宮田浩志先生は家族信託普及協会の理事でもあります。「家族信託」という言葉を世の中に広めた方でメディアにも多数出演し、書籍も出版されています。

そのほか、本グループでは司法書士法人みつばグループ司法書士法人ソレイユが代表的な家族信託の専門家です。

2-2 税理士グループ

家族信託を考える上では相続税も充分考慮することが欠かせません。税金の観点がなく、信託財産の承継先を決めてしまうと、後の相続の際に大きなトラブルとなりかねません。相続ビジネスが得意な税理士は相続税の観点からも最適な家族信託プランを立案してくれます。

税理士法人資産税務相談センター

税・財務・経営などの多彩なノウハウを活用し、お客様が抱える問題点を解決してくれます。特に相続・事業承継など資産税案件では、創造力や経験と租税裁判事例、裁決事例などを研究分析し、相談者にとって最も有利な方法を導き出すと評判です。

そのほか税理士法人タクトコンサルティングイケダアセットコンサルティングがあります。

2-3 不動産会社グループ

家族信託は契約して終わりではなく、契約してからがスタートです。信託財産の大半が不動産という現状から、不動産会社のコーディネーターが中心となって専門家ネットワークを築き、家族信託の相談窓口になっています。実家や収益不動産(アパートやワンルーム、駐車場)をお持ちの方はお勧めの相談窓口です。

株式会社日本財託

都内を中心に約7,600名のオーナー様から20000戸の収益不動産の管理を行う賃貸管理会社です。収益不動産の管理から不動産の売却まで不動産と取り扱いに強みがあります。家族信託の契約件数では実績80件以上、全国のお客様からのご相談に対応しています。NHKクローズアップ現代+やフジテレビとくダネ!などメディア出演、書籍出版実績もあり。

そのほか本グループでは、プロサーチ株式会社株式会社三好不動産が代表的です。

3-4 金融機関グループ

銀行をはじめとする金融機関は基本的には商事信託をメインに取り扱っていますが、ごく最近になって家族信託の活用提案をする金融機関も出ています。上記にあげたような専門家と連携を取りながら家族信託の契約をコーディネートして、融資まであっせんできるという点がメリットです。

相続対策で収益アパートを建築する場合、借主は高齢者になります。借主である高齢者が体調を崩されると、物件の管理が行き届かなくなり、収益性が低下、ローンの返済が滞るといったことになりかねません。そこで、子供たち世代に受託者になってもらい、アパート経営を健全化するために、大規模修繕を行う際には、追加融資を行おうというものです。

主な取り扱い金融機関としては、横浜信用金庫城南信用金庫西武信用金庫があげられます。

3. よくある家族信託の相談例

私自身も毎日のように家族診断のご相談を承っていますが、それぞれが異なるご相談というわけではなく、多くは次の3つのご相談に集中します。ご紹介するようなお悩みをお持ちであれば、家族信託を検討されることがおすすめです。

3-1 介護費用の工面に関するご相談

最も多いご相談がご両親の介護費用に関するものです。

ご両親の体力が衰えてきて、介護施設への入居を検討し始めたときに、将来の介護費用が心配だというご相談です。ご両親の預貯金だけで介護費用を工面できるのであれば、大きな問題はありません。しかし、預貯金に余裕がない場合、だれも住まなくなった実家を売却するなどして資金を作る必要があります。認知症が重症化してしまうと、契約行為ができなくなるため、実家の売却もできません。そこで、いまのうちから家族信託を利用して、介護費用を捻出しようというものです。

こうしたご相談の多くが、ご両親の体力が低下していたり、認知症の疑いがあるなど、まさに家族信託が利用できるかどうかの瀬戸際の状況です。介護費用について心配があるのであれば、早めの相談を大切です。

3-2 相続税の節税に関するご相談

家族信託を活用した相続税の節税に関してもよくいただく質問です。よくある誤解ですが、家族信託を利用したからといって、直接相続税の節税につながることはありません。

ただし、現金を信託財産として、その現金で収益不動産を購入し、相続税評価額を圧縮するといことは可能です。たとえば、ご両親が高齢の場合、収益不動産の目利きを期待することは難しいでしょうし、契約までの購入手続きも多岐にわたるため体力面で厳しいことも考えられます。

こうしたときに、信託財産としての現金を管理運営するお子さま(受託者)がご両親に代わって収益不動産を購入するということも可能です。なお、収益不動産から得られた家賃収入はご両親の生活、介護のために活用されます。

※相続税を計算する際のもとになる相続税評価額は、現金の場合は額面の100%課税されるのに対して、収益不動産の場合、時価のおよそ3分の1程度に評価額を圧縮できます。

3-3 財産の承継先に関するご相談

不義理ばかりをする子どもや義理の息子、娘に対して財産を渡したくないというご相談もよく頂きます。

家族信託では、財産の承継先を2代先、3代先と指定することが可能です。家族信託の財産承継機能を活用することで、息子や娘が亡くなった後に財産を義理の娘、息子に渡さないといったことも可能になります。ただし、相続人には最低限の財産を相続ができる権利である遺留分(いりゅうぶん)が認められているので、利用の際には専門家に必ず相談してください。

4. 家族信託の相談費用と契約書の作成費用

家族信託の相談費用の多くは無料です。

ただし、2回目以降の相談が有料となったり、1回目もしくは数回のやり取りの後にコンサルティング料が必要になるケースもあります。相談費用は各社によって異なるので、問い合わせの際におおよその費用も確認しておきましょう。

そして、いざ家族信託を検討し、信託契約書を作成する際にかかる費用は、管理を委託する際の財産価額によって異なってきます。
たとえば、現金と不動産あわせて5,000万円の財産評価額の場合、契約書の作成費用やコンサルティング費用、不動産の登記費用を含めて約100万円程度です。

家族信託にかかる費用については「これで十分!家族信託にかかる全費用 シミュレーション付」で詳しく解説してありますので、あわせて確認しておきましょう。

まとめ

繰り返しになりますが家族信託の実務に精通した専門家は多くはありません。相談する際には、少なくともこれまで家族信託を手掛けた実績があるのかは、必ず確認することをお勧めいたします。

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