認知症になってからでは遅い!今すぐ後見人として動き出すべき理由とは

後見人 認知症

現在、認知症患者は約462万人と言われており、年々増加の一途を辿り2025年には認知症患者700万人時代の到来と言われております。

そんな中、2000年から成年後見制度が施行されましたが、この制度には思わぬ落とし穴も存在し、トラブルが続出しています。

親が認知症になってから、成年後見制度を知り、利用する人も多いですが、認知症になってから使う法定後見制度は、認知症になる前でないと申請できない任意後見制度と比べ多くのデメリットを抱えています。そこで、本記事では、実際にあった法定後見制度のトラブルをご紹介する共に、法定後見制度の使用を避けるべき3つの理由をご紹介します。

本記事を読むことで、認知症になる前に申請できる任意後見制度を利用する重要性を認識することができます。

また、最近ではもう一つの解決策として、家族信託という手法を活用することができます。
家族信託を使うことで、任意後見制度だけでは網羅することの出来ない多くのメリットを得ることができますので、家族信託についてもご紹介します。

1. 実際にあった!法定後見制度のトラブル3選

成年後見制度は、本来、本人の財産を守るためにある制度ですが、その制度を利用する中で数多くのトラブルが報告されています。中には、親との面会を拒否されることも。今回、トラブルが多いとされている法定後見制度で多発しているトラブル事例を3つご紹介します。

1-1. 事例1:親と面会できない?突然の面会拒否のわけとは

ある日、いつものように母親のいる施設に足を運んだところ、施設側から急に「面会させることはできません。」と言われたらどうしますか?

これは実際にあった事例で、マンション経営をする資産家の父親が認知症になり、息子2人のうちの弟がすぐに知り合いの弁護士に頼み法定後見人を申請したケースです。
気を付けなければならないのは、法定後見制度を申請する際、家族全員の同意が無くても申請出来てしまうということです。

このケースでは、弟が先手をうち、もともとマンション経営のことで意見が対立していた兄に対して、後見人を通して面会を拒否するよう施設に申し入れし、面会を拒否されてしまいました。

この事例から得られる教訓

法定後見制度は家族全員の同意がなくても申請ができてしまうため、無用なトラブルを招かないために、認知症になる前に任意後見制度や家族信託の活用を考慮に入れることが大切

1-2. 事例2:法定後見人が旦那の年金を引き出すことを拒否?

2人暮らしをしていた老夫婦の旦那様が認知症になってしまった時、奥様が家裁に対し、自分が法定後見人になると立候補して審判を待ちました。すると、後日届いた通知書には、自分ではなく、見ず知らずの弁護士の名前が書いてあったそうです。

それ以来、奥様の生活は一変しました。

旦那様の名義になっている預金通帳や銀行カードは全て後見人の弁護士に提出し、管理ももちろん後見人の弁護士。それまでは、生活費を夫の年金からも捻出していたのに、「旦那様の財産を減らすようなことは出来ない。」の一点張りで夫の年金をすべて取り上げられてしまったそうです。それまでとは比べものにならないくらい一気に生活は苦しくなったと言います。

この事例から得られる教訓

必ずしも自分が法定後見人になれるわけではないので、確実に後見人になれるように、認知症になる前に任意後見制度や家族信託の活用を考慮に入れることが大切

1-3. 事例3: 入学費を払ってもらうはずだったのに

これは、孫の入学費を巡ってトラブルになった事例です。

父親が認知症になる前、「孫が大学に入る時は入学費を全額出してやる」とよく言っていたそうです。なので、子供が無事に大学進学を決めた時も入学費の心配はしていなかったとのことですが、いざ入学費を支払おうと思い法定後見人にその旨を伝えたところ、「本人の為に使うお金なので、お孫さんの入学費は一切出せません。」とキッパリ断られてしまったそうです。

このように、法定後見制度を利用してトラブルになるケースは非常に多いです。その背景には、職業後見人への報酬が挙げられます。後見人への報酬は、被後見人の財産によって変動するため、より多くの財産をキープしておくことで自分への報酬を担保できると考えてしまう職業後見人もいるようです。

この事例から得られる教訓

親が認知症になる前の約束が通らなくなる可能性があるので、確実に約束を果たしてもらえるように、認知症になる前に任意後見制度や家族信託の活用を考慮に入れることが大切

2. 法定後見制度は絶対に避けたい3つの理由

成年後見制度を使うのでれば、認知症になる前に後見人を選ぶ任意後見制度だと明確に分かる理由を3つご紹介します。

2-1. 不自由な財産管理!相続税などの節税対策は困難

法定後見制度では、いくら多額の相続税がかりそうだとしても、節税対策は一切できなくなります。

相続税対策のひとつとして、課税対象となる額の財産を減らすために、生前に子供や孫に贈与する方法がありますが、生前贈与は被後見人の財産を減らす行為であり、相続人にはメリットあるが、被後見人にはメリットがない為、行うことができません。

法定後見制度の趣旨は、本人の財産を維持保全することが目的ですので、法定後見制度を使う場合には、被後見人の財産は家族の手を離れると思った方が良いでしょう。

2-2. 全財産が家庭裁判所の管理下に。

法定後見制度を使うことで、すべての財産が家庭裁判所の管理下に置かれると考えてください。
一部の財産にだけ適用するということは出来ません。また、被後見人が亡くなるまでずっと続きます。

法定後見制度を使う目的は人それぞれですが、「自宅を売って介護施設の利用料にあてたい」このように考えて実際に売却したとしても、後見制度を途中で取りやめることは出来ず、全くの赤の他人があなたの親の財産を管理し続けることになります。

また、実際には家庭裁判所の許可がおりるまでに半年以上の時間がかかったり、現金の預貯金がある場合には、不動産の売却を許可して貰えないケースも多々あるようです。

2-3. 亡くなるまで払い続ける後見人への費用

法定後見制度を利用する人のおよそ7割は、後見人が家族ではなく、家庭裁判所が選任した職業後見人(弁護士や司法書士などの士業)がつきます。この場合、その費用を毎月負担しなくてはなりません。資産の額によって毎月の負担額が変わってきます。

資産額1,000万円〜5,000万円以下:月額3万円〜4万円
資産額5,000万円以上:月額5万円〜6万円

毎月これだけの額を被後見人が亡くなるまでずっと払い続けなくてはなりません。また、成年後見制度は、途中でやめることも出来ないのです。

仮にご家族が後見人になれた場合でも、法定後見制度の場合は、後見人が適正な財産管理を行なっているか確認する為の後見監督人がつきます。この場合も同様に毎月費用が発生します。

資産額5,000万円以下:月額1万円〜2万円
資産額5,000万円以上:月額2.5万円〜3万円

どちらにせよ、任意後見制度とは比べものにならないくらい費用が発生します。

法定後見制度は職業後見人に費用が発生するうえに、財産はほぼ凍結状態と言っても過言ではありません。

3. 任意後見制度と併用して使いたい家族信託とは?

任意後見制度は、親が認知症にかかる前などまだ判断能力に問題のない方が将来的に判断能力が低下したときのために、前もって後見人を決めておく制度です。

この任意後見制度のメリットは、自由に後見人を決め、どのような行為を後見人に担ってもらうかについても自由に契約し、権限を持たせることができる点です。

しかし、デメリットとして契約に記載していないことについては後見人は何もすることができないため融通が利かないという点もあります。

「じゃあ、もっと良い親の財産管理、運用の方法ってないの?」って思った方も少ないのではないでしょうか。そこで、ここでは認知症になる前に契約しておくとその後の資産管理や運用に大変有効的な家族信託についてご紹介します。

3-1. 家族信託ってなに?

家族信託とは、認知症になる前に財産を信頼のおける自分の子供と信託契約を交わしておくことで、認知症になった時に自分の財産の管理運営を家族に託すことが可能になります。

「ちょっと待って!それって任意後見制度でも出来るんじゃない?」

そう思った方、ここには大きな違いがあります。

任意成年後見制度の場合、何をするにも家庭裁判所への申し立てが必要になります。親が所有する土地を売却して現金化し、それを介護費用にあてたい。はたまた、空き家になってしまう家の固定資産税を払うのが勿体無いので、売却してしまいたい。そう考えたとしても、家庭裁判所は、本人の資産を守ろうしますから、ご家族の都合で売却したり、まだ現金資産があるのに土地などの不動産を売ることをそう簡単に認めてくれないケースが多いです。

家族信託は、子供の権限で自由に財産管理、運営が可能に!

家族信託の場合には、あらかじめ信託契約を交わしている資産を家庭裁判所への申し立てをすることなく自由に財産を管理できます。

親名義の自宅を売る時に、いちいち家庭裁判所にお伺いを立てる必要もありません。親の現金資産で収益不動産を購入し、家賃収入から毎月の介護費用にあてることだって可能です。

3-2. 財産の分割管理

家族信託は、本人の財産を分割して管理することができます。すべての財産を託して預けるのではなく、財産の一部を指定して信託契約を結ぶことが出来ます。そして、預けられた財産は、本人の財産とは分けて管理されることになります。つまり、本人のお財布から別のお財布に財産を分けて、その別のお財布に入った財産を信頼のおける家族に運営を任せるということです。

例えば、現金資産3,000万円のうち、1,000万円を家族信託で管理するお財布に分け、残り2,000万円は本人名義のままにすることが可能です。こうすることで、1,000万円に関しては、信託契約に基づき親の介護費用だけでなく、収益不動産の購入や贈与をすることが可能になります。

4. 任意後見制度と家族信託を上手に使い分けよう!

任意後見制度だけでは上手くいかない財産の管理運営を家族信託でカバーできることは、ここまで読んで頂いた人にはご理解頂けたかと思います。

そこで、ここでは、実際にどんなことを、どちらの制度を利用して上手く使い分けるのか、分かり易いよう箇条書きにしてご紹介します。

【財産に関すること】
1.預貯金の管理金融機関との取引、保険の契約、保険金申請
2.年金や手当等の受領
3.財産管理・賃貸借
4.遺産分割、相続放棄、承認
5.証書類の保管

【身上監護に関すること】
1.日常生活に必要なサービスや商品の購入、契約
2.介護サービス等の利用に関する契約や履行請求
3.要介護認定の申請や意義申立て
4.福祉関係施設や医療機関の入所契約、入院契約、費用の支払い等

財産管理の自由度は、家族信託で事前にそのお金の使い道や、目的を本人と相談し、信託契約することで、任意後見制度よりも圧倒的に自由度は高くなります。

成年後見制度で不動産の売却や収益不動産の購入が絶対に出来ないかと聞かれれば、絶対とは言い切れませんが、成年後見制度の本質は本人の財産を守ることです。例え任意後見制度で任意後見人がご家族だったとしても、都度家庭裁判所からの許可が必要な任意後見制度では、決して自由に使えるとは言えません。また、許可を取り付けるまでの時間は数ヶ月単位にもなります。

つまり、財産の管理運営は家族信託で行い、身上監護に関しては任意後見制度を利用する。これが2つの制度の上手い使い道ではないでしょうか。

5. まとめ

法定後見制度の目的は、資産の活用よりも資産の維持に重点が置かれているため、どうしても限界があります。こうした限界に風穴を開けたものが家族信託になります。これからご両親が高齢になっていく方は、親の財産をいかに適切に管理運営していくかを早い段階で考えてみて下さい。

信託契約の目的に沿って、それぞれの家庭にあった財産管理ができる家族信託を選択肢のひとつとして考えてみたらいかがでしょうか。

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