5分でわかる家族信託にかかるおもな税金

家族信託は認知症が引き起こす財産凍結問題を解決してくれる優れた手法です。

財産管理手法としては優れていますが、あわせておさえておきたいのがコストです。家族信託を利用した場合、契約書の作成・コーディネート費用に加えて税金がかかります。一度だけ必要になる税金もあれば、継続して負担する税金もあります。

また、家族信託にかかる税金を関係者のだれが負担するのかも知っておかなければ、のちのトラブルのもとになります。

そこで、この記事では家族信託にかかる主な税金と負担関係につきまして、わかりやすくまとめました。家族信託を始める前にこの記事を読んで税金について備えておきましょう。

1. 税の負担者は常に家族信託から利益を受け取る人

家族信託にかかる税金は常に信託した財産から利益を受け取る人が負担します。

たとえば、賃貸アパートを信託財産とした場合、管理運用は財産の管理人である受託者が行うコトンいなりますが、家賃収入にかかる税金は、家賃を受け取る受益者が負担します。家族信託に関する税金の負担の原則になりますので、ぜひ覚えておきましょう。

『家族信託の税負担は受益者(利益を受け取る人)』

2. 家族信託に関するおもな税金

家族信託を利用する際には、信託契約時、管理運営時、売却・相続時にそれぞれの税金がかかってきます。ひとつずつ確認していきましょう。
(図表)

2-1 固定資産税

固定資産税は、1月1日時点における固定資産の所有者に対してかかる税金です。不動産を信託財産とした場合でも、同様に固定資産税が課税されることになります。

なお、固定資産税は財産の管理運営を行う受託者宛に請求されます。

これは、信託財産の所有権が、もとの持ち主から財産の管理人に移るからです。家族信託である財産を信託財産として管理運営を委託した場合、財産の所有権は元の所有者から財産の管理人である受託者に移ります。

ただし、信託財産の名義上の所有権は財産管理人である受託者に移ったとしても、肝心の利益を受けとる権利は財産の元の持ち主である委託者兼受益者にあります。

そのため、請求があったとしても、受託者が負担する必要はなく、固定資産税を負担する人は利益を受け取る受益者になります。固定資産税の請求が受託者にあったとしても、税負担者は財産から得られる利益を受け取る受益者になるのです。

2-2 登録免許税

不動産を信託財産とした場合、財産の所有者を登記簿上に記載する必要があります。この際に必要となる税金が登録免許税です。登録免許税額は建物が固定資産税評価額の0.4%。土地については平成31年3月31日まで0.3%になります。

なお、現金を信託財産とした場合には、そもそも登記をする必要がないので、登録免許税はかかりません。

受益者が変更した場合贈与や相続によって財産から得られる利益を受け取る人(受益者)が変わった場合は、受益者の変更登記を行う必要があります。その際の登録免許税は不動産ひとつにつき1000円です。

受託者が変更した場合財産の管理人である受託者が亡くなったり、辞任、解任などによって新受託者に所有権移転登記をする際の登録免許税は非課税となります。

信託契約を終了させた場合には、信託契約を終了時の信託財産の帰属先が誰になるかによって、登録免許税が異なります。

1. 元の所有者に戻る場合

所有権移転登記:非課税 信託登記の抹消分:1000円
※ただし、信託設定時から信託期間中に委託者および受益者の変更がないこと

2.元の所有者の相続人

所有権移転登記:固定資産税評価額の0.4%

3.1.2以外の人

所有権移転登記:固定資産税評価額の2%

2-3 不動産取得税

実質的な所有権の移動がないので不動産取得税はかかりません。

通常、売買や贈与などを原因として不動産の所有権が移転した場合、不動産取得税が課税されます。家族信託の場合は、信託財産の所有権の移転は名義上のものであり、実質的な財産の移転があるとはいえないので、不動産取得税は課税されないのです。

2-4 所得税

信託財産から得られた所得に関する税金は、利益を受け取った受益者が負担することになります。

2-5 相続税

家族信託では、財産から得られた利益を受け取る権利(受益権)を引きついだ人が相続税を負担することになります。

なお受益権を引き継ぐ人が単独なのか、それとも複数なのか、そして権利の内容をどのように引き継ぐかによって、細かく分かれることになります。それぞれの相続のパターンについて詳しく知りたい方は「わかりやすい家族信託の相続税の話|誰が、いくら負担する?」で確認しましょう。

※財産の管理人(受託者)が死亡した場合財産の管理人である受託者が亡くなって、新しい受託者に交代した場合、新受託者は相続税を負担することはありません。税の負担の原則は資産から得られる利益を受け取る人です。受託者は利益を受け取ることはないので、相続税を負担することはありません。

3.家族信託を利用しても相続税の節税にはならない

家族信託をしたからといって、その行為自体では相続税の節税にはなりません。

相続税の節税を行うためには、現金を収益不動産に変えて評価額の圧縮をしたり、生命保険に加入するなどの施策がありますが、家族信託自体はこうした行為自体を行うものではありません。

ただ、一方で家族信託には相続対策を円滑に行う効果があります。たとえば、ご両親の意思能力がはっきりしている内に、立派な相続対策プランを立案していたとします。しかし、いざ対策を実施しようとしたときに、認知症が発症、そして重症化して判断能力が失われてしまうと、財産の管理、運用、処分ができなくなります。つまり、相続対策を実行することができなくなるのです。

もし、あらかじめ家族信託を利用していれば、判断能力が失われたとしても、財産の管理人(受託者)が相続対策を継続することができます。家族信託は直接的な節税効果はありませんが、間接的には相続対策に貢献してくれる制度です。

まとめ

家族信託における税金の負担者は、財産から利益を受け取る受益者になります。さらに、信託財産の所有権の移動はあくまでも形式的となるため、一般的な財産の所有権の移転とは異なり、税負担も軽くなる税金もあります。この2点を覚えておきましょう。

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