後見人を解任する方法を解説!解任条件から解任申立の請求手続きまで

後見人 解任

被後見人や周りに不利益をもたらす後見人は解任したいですよね。

実際、後見人が解任された事例は多くあります。

最高裁によると、後見人を選任、監督する家裁が16年に財産横領や定期報告の遅れを理由に職権で後見人を解任した件数は255件にのぼることがわかっています。これは、あくまで財産横領や定期報告の遅れを理由に家庭裁判所の職権で後見人を解任した件数のため、実際に後見人を解任された件数はさらに多くあると考えられます。

では、後見人を解任するにはどうすれば良いのか。これがよくわからない方が多いのも事実です。

そこで、後見人を解任する方法を具体的にまとめました。本記事を読むことで、解任事由から解任手続きまで知ることができます。

ぜひ、後見人を解任する方法を知り、いつでも解任請求を出せるようにしていきましょう。

1. 後見人を解任することは可能

成年後見人を解任することはできます。

事実、民法第846条で、「後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。」と定められています。

しかし、後見人を解任するためには、後見人が以下3つのいずれかを行なっていることを証明することが必要になります。つまり、後見人が気に入らないなど、後見人との関係性の悪化による理由で解任することはできません。そのため、後見人を解任することは簡単ではないと言えるのです。

2. 後見人を解任できる条件

後見人の解任事由には、

①不正な行為
②著しい不行跡
③その他後見の任務に適しない事由

の3つがあります。

この3つのいずれかの解任事由があれば、後見人を解任することが可能です。

ここでは、どのようなことを行うと後見人の解任事由として認められるのか具体的に説明していきますので、現状の後見人が解任事由に抵触するか見ていきましょう。

2-1. 不正な行為

不正な行為とは、文字どおり法律などの規範に従わない行為を指します。

具体的には、被後見人の財産の私的流用や財産の横領など被後見人の財産管理に関する不正行為が挙げられます。

①財産の私的流用
被後見人の財産を被後見人のためだけではなく、後見人自身のために使った場合に適応されます。例えば、日常的な食品や薬の買い物なども被後見人のためのものでなければ私的流用となります。

②財産の横領
財産の横領は私的流用よりも悪質な場合適用されます。私的流用が自分の食品の購入など一時的な拝借に対して、横領は財産をだまし取ることを指します。実際に、後見人が業務上横領容疑で逮捕された事例も出てきています。例えば、被後見人の保険金1000万円を管理するために後見人になったものの、その保険金を臨時収入のようにとらえ、自分の車の購入などに使ってしまうと横領になります。

 

また、後見人が被後見人の財産を被後見人のために使用した場合でも、その使徒を明確な証拠をもって立証できないと不正な行為があったと推定されます。

そのため、後見人の財産管理が正しく行われているのか後見人が説明できないもしくは、不正と見受けられる行為がある場合は、後見人を解任できる可能性が高くなるので、証拠を集めておきましょう。

例えば、急に後見人の金遣いが荒くなった際には、後見監督人に被後見人の財産が急に減っていないか確認をするようにしましょう。後見監督人はいつでも後見人に対して後見事務の報告や財産目録の提出を求めることができます。加えて、後見事務や本人の財産の状況を調査することも可能です。

2-2. 著しい不行跡

著しい不行跡とは、後見人としての事務だけでなく後見人として品位に欠ける行為があった場合を指します。具体的には、後見人として品行が甚だ悪く、その行状によって被後見人の財産管理や身上監護に危険を生じさせるなど後見人としての適性に欠けると判断されることを指します。

【著しい不行跡の例】
後見人の仕事である財産管理事務・身上監護事務を適切に行わなかった場合に著しい不行跡に当たります。財産管理並びに身上監護事務は下記のような仕事を指します。

(1)財産管理事務
・預貯金の入出金チェックと必要な費用の支払い
・不動産の管理
・株式、有価証券の管理
・税金の申告・納税
・居住用不動産の処分等

(2) 身上監護事務
・医療・介護サービスの契約
・住居の確保
・施設の入退所、処遇の監視

 

そのため、後見人の日々の行いが被後見人の危険に繋がるというケースが見受けられる際は、それを立証できるように証拠を集めておきましょう。これは、被後見人と日々コミュニケーションを取って行く中で、著しい不行跡にあたるものが出てくることがあるので、これを記録するようにしておきましょう。

2-3. その他後見等の任務に適しない事由

その他後見等の任務に適しない事由とは、後見業務の怠慢や家庭裁判所の命令違反、被後見人との関係破綻などを指します。これらについても見受けられるものは詳細を記録しておくようにしましょう。

①後見業務の怠慢
被後見人のために後見人が本来行うべき業務を怠ることで被後見人に不利益が出る場合を指します。例えば、交通事故で脳に障害が残る被後見人が本来受け取れるはずであった障害年金について、後見人が手続きを行なっていなかったため障害年金を受け取れていなかったというのがあります。これは後見業務の怠慢にあたると言えるでしょう。

②家庭裁判所の命令違反
後見人が裁判所の求めに応じず、財産の調査や財産目録の作成、その他報告を行わなかった場合を指します。これが続くと家庭裁判所が職権で後見人を解任します。

③被後見人との関係破綻
これは親族が後見人になるケースである解任事由です。例えば、被後見人である父親と後見人である子の関係性が破綻しており、被後見人への虐待などがある場合などが関係性の破綻にあたります。

3. 後見人の解任請求手続き3ステップ

後見人の解任事由がわかったところで、実際の解任請求手続きにはいります。

任意後見人の解任も法定後見人の解任も同じステップなので、本章を確認し、解任事由を集め、後見人の解任請求手続きを行えるようにしていきましょう。

後見人の解任手続き

3−1. 解任事由を具体的にまとめる

成年後見制度の目的は被後見人の保護にあります。そのため、裁判所も明確な理由がないと解任には動きません。そこで、2章で挙げた解任事由に当てはまる証拠を集め、具体的にまとめておきましょう。とくに不正についてはその証拠を掲げることが重要です。

しかし、不正の証拠を集めるのは簡単ではありません。

また、財産の横領など法的に適切な対処が必要な場合もあるので、弁護士や後見人の手続きに知見のある専門家に相談することも考えましょう。

3−2. 解任の申立書を作成する

解任事由がまとまったら、解任の申立書を作成します(申立費用:800円と郵券を添付)。なお、後見人の申立書のフォーマットは家庭裁判所の方で用意されていないため、申立書は自分で作らなければなりせん。

そのため、被後見人の住所地の成年後見人相談窓口もしくは家庭裁判所で申立書並びにその他必要書類について確認をするようにしましょう。

※後見人の解任申し立てができる人
・後見監督人
・被後見人
・被後見人の親族(六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族)
・検察官

3−3. 被後見人の住所地の家庭裁判所で解任の申立を行う

解任の申立書が完成したら、成年被後見人の住所地の家庭裁判所へ「解任の申立」を行います。その際に、家庭裁判所に連絡を行い、事前に予約を取るようにしましょう。

被後見人の家庭裁判所の検索は下記のページより確認しましょう。
各地の家庭裁判所一覧

解任の申立が受理されると、家庭裁判所が審判を開いて、成年被後見人等の言い分を聴きます。その後、成年後見人に解任事由があるときは、家庭裁判所は解任する審判を決定し、逆に解任の理由がないときは申立を却下するという流れになります。

後見人の解任後は、他に後見人がいる場合を除いて、速やかに新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。新たな後見人の選任には、下記の必要書類と申立書が必要です。申立書は以下の事例をもとに記載しましょう。

【必要書類】
成年後見人選任申立必要書類一覧表をこちらからご確認ください。

【申立書】
Wordの申立書をこちらからダウンロードしてください。

4. まとめ

後見人を解任することは、決して簡単なことではありません。

しかし、正当な解任事由が証明できれば解任することはもちろん可能です。

大事なことは、いかに不正の証拠を集めて、後見人の不正を立証できるかです。この証拠がなければ、解任することはできません。

本来は後見人を他人が行うよりも任意後見制度を利用し、自ら後見人になることが望ましいといえます。さらに、最近ではもう一つの解決策として、家族信託という手法を活用することができます。もしこれから制度を活用する機会がある方は、下記の2つの記事もぜひご覧ください。

【任意後見人について知りたい方はこちらをご覧ください】
後見人になるにはどうしたらいい?相続で損しないために必須の知識

【家族信託について知りたい方はこちらをご覧ください】
認知症対策に抜群の効果を発揮する≪家族信託≫の3つのメリット

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